みなとみらい線 Y500系
その5

ピクア製レジストシートの場合の裏表の合わせ方(両面エッチング)

1. パターンを転写したリタックシートの裏側部分(リブ、窓枠がない方)
   の緑色側を上にしておきます。
2. その上に半透明の紙(インレタの保護シートと同じもの)を右側
   数センチあけて重ねます。(写真)
3. その上にリタックシートの表側部分(リブなどがある方)の緑色側を
   下にして、穴あけ部がぴったり合うようにします。その時、右側で
   リタックシート同士が触れてしまうとくっ付いてしまうので慎重に作業
   をします。
4. 裏表が合ったら右側でリタックシート同士を固定します。
5. 保護紙を抜き取り、代わりに真鍮板を挟みこみます。

 
エッチングの時間

パターンの密度にもよりますが、今回のY500中間車1両分、
温度40度、A4 版バットにエッチング液を半分入れた状態で
リブの表現に約50分かかりました。バットを時々ゆすっています。
液をそのまま使用して穴あけには90分かかりました。
温度、液の状態、攪拌のしかたで変わってきます。

熱帯魚のポンプを使用してエアーで攪拌する方法もあります。
穴あけには有効だと思いますが、表面を平均に腐食するには
おすすめしません。エッチングが進みすぎる所とそうでない所が
顕著に現れてしまい、ムラが多くなります。


費用 (2004年9月現在)

ドライフィルムラミネート(支給材) サンハヤト社
0.5mm真鍮板、250×100mm 両面 1枚3,300円(真鍮板、送料別)
0.3mm 同サイズ 2,700円
詳細はサンハヤトにお問い合わせ下さい。
● C) デカルクの場合

デカルクは転写シートです。Tシャツなどの布地やタイル、ガラス、陶器に
カラーコピーのトナーを転写するものとして使われています。
この製品もエッチングに利用できることがわかりました。

この製品はカラーコピーの使用を前提にしています。
カラーレーザーも一部使用できるそうです。
会社の複合機(FAX、モノクロコピー、モノクロレーザープリンター)で印刷
してみましたが、うまくいきませんでした。
アルプス電気のMDプリンターならOKなのでこれを使いたいところ
ですが、現在は通販のみの扱いで、お持ちになっている方は少ない
と思われ、一般的ではありません。しかもエッチング液に長時間浸すと
ふやけてきて、腐食させない部分に影響が出る恐れがあります。

そこで上質紙に印刷し、コピーセンターに持ち込んでカラーコピーを
してもらいました。(図面は白黒ですが)

図面はピクア社のレジストシートの時と同じものを使用しました。
結果はやはり縦方向(車体長さ方向)に数ミリの誤差が生じてしまいました。
横方向は大丈夫でした。
何回かテストをしてそのコピー機の特性を把握できれば原図印刷時に
調整することは可能かと思います。コーレルドローの場合は縦横それぞれ
拡大縮小する機能が付いています。

今回は試験的に行ったので、未調整のものを使いました。

***カラーコピーの場合***

1. デカルクをコピーセンターに持ち込み、店員さんに説明書をみせて
   カラーコピー機で使用可能かどうかを確認する。コンビニは持ち込み
   用紙の使用は不可のところがほとんど。
2. 使用可能であれば、白黒ですがカラーコピーして下さいと頼む。
3. 表面保護シートを剥がしてもらうこともお忘れなく。
4. 印刷面を真鍮板に合わせて、転写紙の裏面を水で濡らす。
5. 1分ほど放置し、裏紙を横方向にずらす。
6. 気泡、水分を取り除く。
7. オーブンで100度まで加熱、さらにゆっくり(30分くらい)かけて200度
   まで加熱する。最高温度を10分間保つ。
8. 冷却後、テレピン油(画材店で購入、ターペンタイン) (写真)に浸し、
   転写シートを溶かす。
9. ぬるま湯、中性洗剤でテレピン油を除去。
10. エッチングする。
ポイントは6, 7のところです。気泡や水分を完璧に除去しないと加熱
の際、パターンにピンホールが生じます。
ところが、これがなかなか消えてくれません。無理にこすると転写紙が
切れたり曲がったりします。
そこで4のところで水に濡らす前にラミネーターを通すと、ある程度は
防ぐことができます。エッチング液には強いようです。ピンホールは油
性ペンで修正。


両面エッチングも工夫次第で可能です。
表側のみエッチングをした後、ドアの中心部4箇所(外側)に0.5mmの穴を
あけて裏側を合わせました。(写真)
***MDプリンターの場合***

1. デカルクを注文する際、MDプリンター対応のものを指定する。(通販のみ)
2. 保護シートを剥がして黒インクのみの印刷をする。
3. 印刷面を真鍮板に合わせる
4. ラミネーターの温度を130度にして数回通す。
5. 裏面を水に濡らして裏紙を横方向にずらす。
6. 転写紙を手で剥がす。(テレピン油は不要)
7. オーブンで220度くらいまで加熱
8. 冷却後エッチングする。

MDインクはテレピン油には弱く、浸している間、手で触っただけで
剥がれてしまいます。
エッチング液にもあまり強くなく、攪拌時に刷毛などで触れてしまうと
剥がれてしまう恐れがあり注意が必要です。
表面を少しだけ腐食させる場合のみに使った方がいいと思います。

しかし、MDプリンターをお持ちの方なら、これが一番手軽にできる
方法だと思います。
まとめ

Aのドライフィルムは、機関車等をコンスタントに製作される方に。
一度に2〜3枚しか使用しないが、ずっと続けていく場合など。
特別な機材が必要なので1回きりの使用ではもったいない。

Bのレジストシートは編成物を製作される方に。

Cのデカルクは精細な作業をしない方に。
ちょっとした部品の製作などに有効かと思います。

おまけ

他に試作中のものをお見せします。

グラデーション塗装のデザイン(写真上) 舵や碇のイラストはまだです。
写真をクリックすると大きなサイズで見られます。
写真下は、実物。
試作中の先頭車の前面です。

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